ギル

　原作の裏側に「GILL」とサインされたこれらエアブラッシュで巧みに描かれた作品は、ハワイアン・ビンテージ・アートを代表する作品の中でも最も人気のあるシリーズです。元々1930年代後半から1950年代初頭にかけて制作されたものだと言われていますが、アーティストGILLについて分かっていることはほとんどありません。

　クラッシックアートのアートデコスタイルを起用したこれらの作品は、ハワイアナイメージを象徴する存在でもあります。その昔、ハワイへの旅は、お金と時間に余裕のある一部の特権階級の人々だけが楽しめる場所でした。GILLの作品はその当時の、ノスタルジックな様子を垣間見ることができます。

多くの庶民にとって、ハワイという場所は想像の中にしか存在しない場所であった時代に描かれたGILLの作品は、ノスタルジックでロマンチックな想像をかきたてます。

そして詳細が分からない作者GILLの存在も、またより一層作品の存在感を際立たせるものになってきたようです。